書けなくなっていた自分の、小さな再スタート——新しい名刺に映した“いまの私”
もくじ
新しい名刺に入れた「書くことは未来を紡ぐ」
自分へのモヤモヤでいっぱいだった私が、少しずつ歩んできた道のり
しばらく個人的な発信から遠ざかっていた私ですが、最近、新しい名刺をつくりました。
写真も入れて、肩書きや経歴も整えて、今の自分をぎゅっと詰め込んだ名刺です。
そこに入れていただいた「書くことは未来を紡ぐ」という言葉。
これは、私がずっと大切にしてきた想いです。

思い返せば、ライターを志したのはもう10年以上も前のこと。
ちょうどその頃、結婚を機に初めての土地へ引っ越し、長男を出産。
一所懸命子育てをし幸せな一方で、キャリアへのコンプレックス始め自分に自信がなく、我が身に対してはいつもモヤモヤしていました。

そこから目の前のことを一つひとつ積み重ねながら少しずつ仕事の幅を広げ、たくさんの出会いと経験を重ねてきました。
子どもたちと一緒に体験レポートをすることも多く、母としても、ライターとしても、一緒に成長してこられた気がしています。
海外生活中も支えられた「書くこと」

そして昨年まで過ごしたブラジルとアルゼンチンでの海外生活中も、大好きなこの仕事を続けることができました。
地球の反対側の南米での生活。なかなか行くことのできない場所での生活や南米各地への旅など貴重な経験を発信できたことに加え、「書くこと」が自分の軸となり、大変な時も支えになりました。
「書くこと」は、自分の歩んできた時間に意味を見出すことにつながるし、時に誰かの背中をそっと押すことができたりもする。
読んだ後に一歩前に踏み出したくなるような文章を書けるようになりたい。
それはきっと、誰かの未来を照らすものにもなりえるはず…そう信じて、自分なりに精一杯取り組んできました。
でも、その言葉を名刺に記した本人が、最近は「書くこと」を考えると気持ちが重くなっていました。
しばらくはブログやSNSからも距離を置いており、かろうじてお仕事のお知らせを載せるだけになっていました。
怒涛の帰国と新生活の中で、置き去りになった「発信したい気持ち」
昨年、ブラジル&アルゼンチンから母子で先行本帰国

コロナ禍の延期を経ての海外生活も怒涛でしたが、昨夏の本帰国とその後もなかなかハード。
子どもたちの進学のために母子で先行本帰国したのですが、同年度に兄妹それぞれの編入試験と中学受験。ふたり別々の新しい学校、新しい生活、そしてこの4月から長男は初めての中学生活がスタートしています。
仕事も可能な範囲で一つひとつ真剣に取り組み、自分にとって新しい挑戦も多くありました。
そんな中で最近、ふとした時に目に入ってくるのは「できていないこと」ばかり。
遠く南米にいる夫とも密に連絡を取り合い支えてもらっていますが、キャパオーバー気味でイライラし子どもたちとぶつかる時は落ち込むし、自分なりに精一杯がんばっているはずなのに周りと比べ「自分はまだまだだな」と責めてしまうことも。
「こんなことを書いても誰が読むんだろう」
ブログやSNSの発信も、そのひとつ。
以前は、ブログを書くことが楽しみでした。
SNSに気軽な写真を投稿することが、癒しにもなっていました。
でもSNSで仕事の発信をすることも多いため、最近はいざ書こうとすると「これって誰かの役に立つかな?」「反応はあるかな?」といった考えが頭をよぎる。
せっかく自由に書けるはずのブログも「ちゃんと構成を考えて、写真も選んで、読後感も良くて…」と考えるうちになんだか気が重くなってしまい、だんだんと個人的な発信から離れてしまっていました。
「今の私」と向き合うきっかけとなった名刺作り
言葉にできない想いを形にしてくださるデザイナー
そんな中で自分と向き合うきっかけになったのが、新しい名刺をつくることでした。
作成をお願いしたのは、キクタ・デザインの菊田里恵さん。
菊田さんは「『パソコンが苦手な個人事業者さん』のためのデザイン&発信サポート」をされています。
お仕事の先輩でもある菊田さんは、依頼者に寄り添って一緒に想いを言葉にし、目に見える形にしていく…そんな「気持ちを一緒に整えていくデザイナー」さんです。
しかも、デザインのセンスがあるだけじゃありません。
タロットなどにも精通していて、自分でも言葉にできていない気持ちをそっとすくい上げてくれる、不思議な魅力を持った方です。
私のここ数年の激動の日々も、ずっと見守ってくださっていました。
「これまで」と「これから」が詰まった名刺
名刺作成の打ち合わせでも、私がまだ口にしていないのに「こういうことを載せたいんじゃない?」と、最初から核心を突くような言葉やアイデアばかり。
自分ひとりでは、辿り着けなかったデザイン。
私自身の「これまで」と「これから」が詰まった新しい名刺のおかげで、見えなくなっていた「今の私」に、ふっと焦点が合ったような気がしました。
そして、私にとってかけがえのない光景となった海外での写真と共に載せた「書くことは未来を紡ぐ」という言葉。
これから出会う誰かに向けたものであると同時に、今いちばん自分自身の胸に響くメッセージでもありました。

置き忘れていたのは自分の気持ち
「今の素直な声」を出していくこと
この名刺をつくり、そして手に取った過程で、
「私にとって大切なことは何か」
「これからどんなふうに生きていきたいのか」
そんな根っこの部分に、自然と向き合うことができました。
そして気づいたのは、私は「書くこと」が嫌になったわけではないということ。
むしろ、書きたいことはちゃんとある。伝えたい思いも、ある。
まず、そのことにホッとしました。
だけど、自分の素直な気持ちを「どう形にすればいいのか」「どこまで出していいのか」がわからなくなり、お仕事ではない「自由に書くこと」が、いつの間にか自分を責める材料になっていた。
でも今必要なのは、(自分なりの)完璧を目指すことではなく、「自分の声」をそのまま出すことなんじゃないかと思うようになりました。
ちょうどその頃、ありがたいことに大きなお仕事を任され、この名刺をまるでお守りのように感じました。

やっぱり、私にとって「書くこと」は生きることに近い。
これからも仕事としての執筆はしっかり取り組んでいくけれど、ブログなどではもっと自由に、気張らずに、自分の言葉で、自分の歩みを綴っていきたい。
そんな風に思いました。
書けなくなっていた自分の、小さな第一歩
全部ひとりで勝手にぐるぐる回っていたことではあるけれど、「書かなきゃ」と迷子になっていた自分が、また「書きたい」と思えるようになった。
その小さな変化は、これから始まる盛りだくさんの夏本番に向けて、自分の背中を優しく力強く押してくれるよう。
名刺と一緒に私のお守りとなってくれそうです。
今の私があるのは、たくさんの方との出会いと助けのおかげです。
今回すばらしい名刺を作ってくださった菊田さん。
そしてこれまで出会ってきたすべての人たちへ。
またもや勝手な感謝の気持ちを込めて、この記事を、“書くことを再び楽しむ”ための小さな第一歩として残しておきたいと思います。
まだまだ発展途上だけど、新たな夢もあるし、これからも楽しみながら頑張っていく姿勢を忘れずにいたいと改めて思いました。
著者プロフィール

- 株式会社リクルート等を経て、結婚・出産を機にライターへ。現在は集英社の人気女性誌のwebサイト『LEEweb』でのコラム連載や日本有数のニュースサイト時事通信社「時事ドットコム」 での特集記事など、女性目線・ママ目線に強いライターとして暮らしや子育て、旅、国内外のトレンドから社会的な取り組みまで幅広く執筆。丁寧なリサーチ・取材に基づいた等身大の体験記事、インタビュー記事、実体験をもとにしたコラムに定評があり、企業サイトでのコラムやPR記事、編集業務などにも携わる。著書にkindle「今こそ!フリーランスママ入門」。夫の海外転勤に同行し2022年より家族でブラジル・サンパウロ、その後アルゼンチン・ブエノスアイレスで生活。







