「せっかく海外に行くのに、日本人学校に行くの?」海外に出て気づいた、日本の教育と「日本人学校」の良いところ
もくじ
子どもと一緒に海外転勤!学校はどうする?
我が家はブラジル&アルゼンチンで「日本人学校」
日本にいても海外にいても、子育て中の親にとって一番悩ましいことのひとつは、子どもの学校や習い事など教育にまつわる問題ではないでしょうか。
私たち家族の場合、これまで住んだブラジルでもアルゼンチンでも「日本人学校」にお世話になっています。
子どもたちにはかけがえのない想い出ができており、どちらの学校にも感謝の気持ちでいっぱいで満足しています。
一方で海外赴任が決まって以来「せっかく海外で暮らすならば現地校やインター校に」という思いも持ち続けており、今後を考え今も情報収集&試行錯誤中でもあります。
「せっかく海外に行くのに、日本人学校に行くの?」
南米生活で実感した日本の教育の丁寧さと教科書の質の高さ|GLOBAL REPORT|Soda!Soda!(ソーダソーダ)
先日公開となったこちらの記事、様々な形で反響をいただいており、中でも多かったのが「なぜ日本人学校を選んだか」というご質問でした。
実際「せっかく海外に行くのに、日本人学校に行くの?」などと言われたこともあります。
また私自身が調べていた際、意外と「日本人学校の良さ」について書かれた記事には出会うことができませんでした。
もちろん答えはお子さんの数だけあり、国によって状況も違います。
我が家もまだ悩んでいるくらいなので一概に何が良いと言えるような問題ではありませんが、だからこそ悩ましく、結果、ご質問が多くなったのかな?とも感じます。
そこで今回は我が家が「日本人学校」を選んだ理由や感じている良さを書いてみようかなと思いました。
インターや現地校にも惹かれながら「日本人学校」を選んだ理由は?
正直に書かせていただくと、我が家が南米で日本人学校を選んだ最初のきっかけは、物理的な諸事情でした。
まず「現地校」の場合、ブラジルでもアルゼンチンでも、ポルトガル語とスペイン語がメインになります。渡航前は私たち両親も簡単な単語すら理解できないレベルだったため、選択肢の中に入りづらかった。
また最初の赴任地ブラジルでは、住んでいたエリアが中心地から離れた郊外で、日本人学校もインターも車で1時間以上かけないと通えない距離がありました。
更にやはり治安も交通事情が悪く、私がひとりで毎日子どもたちを車で送り迎えすることには正直大きな不安がありました。
最終的に、送迎のバスもあり安心して通うことのできる日本人学校を選択しました。
ブラジルの先生に言われた「日本の教科書を譲って」は印象的
前述のとおり我が家もいまだに悩みながらという状況ですが、ただ、海外転勤を機に初めて「日本の教育」と「日本以外の教育」を比べる中で実感しているのが、日本の教育の丁寧さとバランスの良さについてです。
記事でも書かせていただいた通り、例えば教科書一つとっても、海外では有償の場合もあり、特に欧米ではいわゆる「レンタル」のような形が多いといいます。
日本より更にデジタル教育が進んでいるなど、単純に比較・判断できないことだとは思いますが、日本の教科書は、無償の上に見やすくわかりやすく質が高いのは事実。考えてみたら全ぺージがカラーで、写真や挿絵が美しい点なども素晴らしいと感じます。
またブラジルからアルゼンチンに異動する前に知人の先生から「日本の教科書は非常によくできている。自分も勉強したいし、子どもたちにも見せたいので、不要になったものがあれば譲ってほしい」と言われたことも、強く印象に残っています。
「日本人学校」の良さはどんなところ?
熱意ある先生がたのもと、丁寧な指導
改めて「日本人学校」はどんな学校を指すのかというと…
日本人学校は、日本国外に居住する日本人子女が「日本国内の小・中学校と同等の教育を受けられるようにした教育機関(いわゆる学校)」で、文科省が通常課程と呼ぶ「平日の毎日6時間程度の授業」を行う全日制の学校となる。
Wikipedia
海外にいながら日本と同じ教育を受けられることに加え、私が感じている一番のメリットは「子どもたちを日本以上に丁寧に見ていただけること」です。
もちろん学校にもよりますし、先生と児童も合う合わないといった相性はあるかと思います。ただ、先生がたは皆、ご自身で手を挙げ海外の日本人学校に来た方ばかり。そのために受ける試験は非常に狭き門だそうで、子どもたちへの教育や想いが強い先生が多いと実感しています。
またクラスも日本人に比べ少人数で、今の学校は多くてもひと学年10人以下!
ひとり一人の生活や学習をしっかり見ていただき、結果、児童生徒同士の結束が強くなることも良い点ではないかなと感じます。
子どもたちはこちらに来てからも良いお友達に恵まれ、家族ぐるみで仲良くしていただいている方々との出会いには、いつも感謝しています。
行事が盛ん!授業以外から学ぶことも多い
またこれまで通ったどちらの日本人学校も、普段の授業はもちろん「運動会」「発表会」といった行事や係活動、部活などにも非常に力を入れている印象です。
例えば現在通っている学校は、運動会直前は1日に3~4時間体育を行う日が続きました。
子どもたちは自ら休み時間まで練習するなど楽しく熱心に取り組んでおり、運動会で子どもたちが披露してくれたダンスなどの完成度の高さには、目を見張るものがありました。
基本毎日7時間授業で1週間のコマ数も多く、後から全体の学習量を調整しているそうですが、さすがに体育やりすぎなのでは…と当初は少し驚き、日本の学校ではなかなかできないことではないかと面白く感じました。
子どもたちを見ていても、リーダーシップや周囲と協力して何かを作り上げるなど、行事を通しての学びや成長も大きいと感じます。
外国語教育が盛んな学校も多い
「日本人学校」に通った場合、普段の生活はほとんど日本語となってしまうため、やはり語学力や異文化の学びという面では、どうしても現地校やインターに劣ってしまうと思います。
ただ海外ということもあり、学校によってかなり差があるとはいえ日本人学校は英語教育が盛んな学校が多いと言われています。
例えば英語検定の受験についても積極的で、子どもたちが通っている日本人学校はどちらも、学校で英検受験を実施してくれました。
また通常の外国語授業とは別に、副教科でも現地採用の先生方が英語や現地語を交えて授業を行ってくれる点なども魅力だと感じています。
海外に出て見えた、日本の教育の良いところ
外国人が感心した「調理実習」!
今回の記事を書くにあたり、現地の方と日本の学校の授業について話していたところ、彼女が驚いていたのが「調理実習」についてでした。
基本的に各学校内にキッチン機能の付いた調理室があり、皆で料理を習う機会があるなんて素晴らしいとのこと。
これまでそんなふうに考えたこともなく、とても印象的な出来事でした。
調理実習はあくまで一例ですが、日本の教育というと、近年は画一的だとか詰め込み型だとか課題について議論されることが多いと思います。
ただ実際に海外で様々な学校を調べていると、例えば体育の授業が週1回しかないなど、私の感覚からすると少し偏りが感じられるような場合もあります。
世界と比べても、日本のカリキュラムは幅広くバランスが良い
もちろんそれぞれの学校に特色や良さがあるという事実が大前提ですし、私自身の価値基準はどうしても日本寄りになりがちだと自覚しています。
それでも、世界と比べても日本の学校のカリキュラムは学ぶ幅が広く、副教科も含めて各教科内容がしっかりしており、バランスも良いのではないかと感じています。
海外で暮らしていると様々な制約や特殊な事情も多く、そんな中だからこそ、子どもたちの学びに「日本のカリキュラム」という一つの大きな軸があることに、心強さを感じていることは事実です。
日本の教育も時代に合わせてより良くなっていってほしいと願っていますが、海外にいるとやはり日本は教育水準が高いとも感じるため、良い点はしっかり評価し子どもたちにも伝えたいなと考えています。
海外と日本の良さ、どちらも活かしたい
繰り返しになりますが…もちろん、日本人学校が絶対良い!と言いたいわけではありません(念のため)。
これはあくまでイチ意見ですし、実際、日々の生活での現地の方々との関わりの中で学んだことは本当にたくさんあります。
また日本人学校へ行っている分、現地の子どもたちと関われる習い事を探したり語学を学ぶ機会を作ったりするよう意識しています。
今回の記事では他にも、ブラジル・アルゼンチンの習い事事情や、日本との差、そこから学んだことなども書かせていただいているので、もしよろしければご覧ください✨
南米生活で実感した日本の教育の丁寧さと教科書の質の高さ|GLOBAL REPORT|Soda!Soda!(ソーダソーダ)
せっかく海外に住む機会をいただいているからこそ、日本と海外双方の良いところを子育てに活かしていけるよう、これからも試行錯誤していきたいです。
『Soda!Soda!』 by SEIBAN「GLOBAL REPORT」
毎月、海外から子育てや教育についてレポートさせていただいている『Soda!Soda!』 by SEIBANでは、世界中に住むライターさんたちが見聞きしたリアルな子育てや教育事情を知ることができます。
よろしければこちらも是非覗いてみてください✨
GLOBAL REPORT|Soda!Soda!(ソーダソーダ)
著者プロフィール
- 現在は夫の海外転勤に同行し、小学生の兄妹と共に家族でブラジル在住。集英社「LEEweb」や企業HPでのコラム連載、時事通信社「時事ドットコム」での特集記事など、女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆。丁寧な取材に基づく等身大の体験記事、インタビュー記事、実体験をもとにしたコラムに定評がある。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワーク。著書にkindle「今こそ!フリーランスママ入門」。
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